「男の英語」と「女の英語」
男性が話す英語と女性が話す英語の違いがあるのでしょうか。実はあるのです。
「Women, Men and Language: A Sociolinguistic Account of Gender Differences in Language (Studies in Language and Linguistics)」(Jennifer Coates, Longman)は様々な調査結果を元に男性が話す英語と女性が話す英語の違いを説明しています。大きな傾向としては次の3つが挙げられます。
1.女性は、男性よりも標準語に敏感であり、標準に近い発音で話す傾向がある。
2.女性は、男性よりも卑猥語(ののしり、絶叫、禁句など)を使うことが少なく、より洗練された表現や婉曲な表現を好む。
3.男性は、女性よりも非標準語に高い価値をおく傾向があり、お互いがそれを使うことによって結束力を示す。
では、さらに細かい違いの中で興味深いものをいくつかあげて見ていきましょう。
(1)女性は、男性よりも曖昧な表現(これを専門用語でhedgesという)をよく使う。
例 It’s sort of hot in there….
It seems like….
(2)女性は、男性よりも「丁寧すぎる表現」をよく使う。
例 I’d really appreciate it if….
Would you please open the door, if you don’t mind?
(3)女性は、男性よりも付加疑問文をよく使う。
例 John is here, isn’t he?
(4)女性は、男性よりも下記の形容詞を頻繁に使う。
例 divine, charming, cute, sweet, adorable, lovelyなど。
(5)女性は、男性よりも平叙文を疑問文のように最後を上げるイントネーションで話すことが多い。
例 What time will dinner be ready? と答えて、About six o’clock? とまるで疑問文のように最後を上げて話す。
(6)女性は、男性よりも”um”とか”er”などの”fillers”をよく使う。
(7)自分の意見に自信がない場合、女性は、男性よりも”qualifiers”または”disclaimers”をよく使う。
”qualifiers”の例 I know you might think it strange, but…
”disclaimers”の例 I don’t wish to annoy you, but…
筆者は2年間イギリスに留学していましたが、そのときに実感したのは上記の(4)でした。
イギリスの冬は「2日連続で雨が降らなければ奇跡だ」と冗談が出るほど天気の悪い日が多いのですが、そんなときにたまたま天候に恵まれると、”It’s lovely weather, isn’t it?”という言葉が必ずといっていいほど女性の口から聞こえてきたものです。逆に、男性の口からこのような言葉が出てくるのを聞いたことはありませんでした。