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英語民間試験を大学入学審査に取り入れる妥当性

 

何を血迷ったか、私は40代になってから東大大学院(哲学専攻)に入学を決意し、死に物狂いで勉強した。1年365日がまさに勉強づくめだった。クリスマスも大晦日も正月も一切休みなく勉強した。 

東大に学部から入る場合5教科まんべんなくやらなければならないが、東大の大学院入試は、英語、第二外国語、専門科目の3科目だけなので、英語と第二外国語で高得点を取れば、合格も不可能ではないと思ったのだ。 

結果は不合格だったが、ここで問題にしたいのは、東大大学院の英語とドイツ語の試験形式だ。 

試験時間は、英語1時間、ドイツ語1時間だったが、出題はすべて英文和訳と独文和訳だけだった。しかもわずか5問ずつ。

友人に言ったら、「え? 東大の大学院入試って、たったそれだけなの?」と驚いていた。

リスニングや口頭試験がないだけでなく、文法問題もなければ、英作文、独作文もない。まさにすべての問題が英文和訳と独文和訳だけだったのだ。

しかし、東大大学院は、大学院入学後の修学適正を見るために大学院入試をしているのである。何もオールマイティーに英語ができる学生、オールマイティにドイツ語ができる学生を欲しがっているのではない。

大学院では、和書はもちろんだが、洋書も読んで研究するのが主体となる。そして研究に差が出るのは洋書がいかに正確に読めるかだ。

洋書の場合は翻訳書が出ていなければ、引用する際に自分で訳して引用せざるを得ない。高度な論文が書けるか否かは、まさに洋書がしっかりと読み込めるか否か、そしてそれをきちんとした日本語に訳せるか否かにかかっているのである。

だからこそ東大の大学院入試では、英語は英文和訳、ドイツ語は独文和訳のみで修学適正を判定するのである。逆にいえば、東大の大学院に入るのに、英語やドイツ語がペラペラしゃべるか否かは、それほど重要なことではない。ペラペラしゃべれるに超したことはないが、ペラペラしゃべれたからといって大学院入学審査において一点すら加点してもらえないのだ。

今、民間英語試験を大学入学審査に取り入れるか否かで激論となっているが、私は英会話力を大学入学審査の対象にするのは無理があるだけではなく、一般の高校生が高校3年までに身につける英会話力が大学入学後の修学適正を測る上で妥当なものか疑問に思う。

英会話力が不要だといいたいわけではない。英会話ができるようになることは重要なことであり、それなりに楽しみもある。しかし、高校3年生までに身につけられる英会話力というのは、中学や高校とは別に英会話学校や英会話サークルにでも行かなければ、なかなか磨けないと思うのだ。入試の英語はセンター試験のままでもいいと思うし、英会話力をつけたい人は大学入学審査とは別に自分で自発的に英会話力を磨けばいいのではないかと思う。