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4技能のうち、どの技能を磨けばいいのか

「英語が使える」とはどういうことか

英語の技能がリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4つに大別できることは誰もが認めることでしょう。では、「英語が使える」というのはどの技能に長けていることを指すのでしょうか。4つの技能のすべてに長けていることを指すのか、それとも1つ乃至3つの技能に長けていればそれはそれで「英語が使える」ことになるのか。

ある有名な英語教育者が次のように述べたそうです。

「英語も音読などの声を出すトレーニングをしないと、実際に使えるようにはならない。音を出さない英語学習は無意味です」

彼のこの発言は「英語が話せる」ことが「英語が使える」必要条件であるという主張と見ることができるでしょう。

しかし、筆者は4つの技能のうち1つ乃至3つの技能に長けることができれば「英語が使える」といっていい人もいる、むしろ日本人のほとんどはそのような人ではないかと考えます。特に、スピーキングが苦手であっても「英語が使える」といっていい人は非常に多いと考えます。

そう思う理由を説明しましょう。筆者はロンドン大学哲学部を遠隔教育課程で卒業しました。卒業するまでには膨大な量の英語の書籍を読み、数多くの論述試験に合格しなければなりませんでしたが、その間に求められたのはリーディングとライティングの技能だけで、スピーキングの技能もリスニングの技能も一切求められませんでした。つまりリスニングやスピーキングが堪能でなくともロンドン大学の学位は取得しうるのであり、それはそれで「(読んだり書いたりできるという点で)英語が使える」と言いうるわけです(注、ただし入学審査時にIELTSなどのスコアの提出が求められるので、スピーキングの能力がまったくなくても入学できるというわけではありません。また面接試験が必須となっている学部もあります)。

次に、ビジネスパースンの場合を考えてみましょう。果たして今の日本で、仕事上、スピーキングの技能が求められる人は何パーセントいるでしょうか。IT時代の到来によって、従来なら電話で話していたようなケースも今ではメールだけで済んでしまうことも増え、日本語会話の量すら減りつつあります。そのような中、英会話能力が求められるビジネスパースンはごく限られた人たちといっていいでしょう。そのような人たちでも、例えば、文書やメールのやりとりだけでビジネスを遂行する場合、求められている技能はリーディングとライティングのみということになりますが、それはそれで「(読んだり書いたりできるという点で)英語が使える」といっていいでしょう。

さて、「『英語が使える』とはどういうことか」という結論に移りましょう。一口に「英語が使える」といっても、その意味は様々考えられ、「(話せるという点で)英語が使える」、「(読めるという点で)英語が使える」、「(書けるという点で)英語が使える」、「(聴けるという点で)英語が使える」の4つすべて、あるいは、その4つの中の1つ乃至3つを指すことができます。したがって必ずしも「英語が使える」と「英語が話せる」は同一のものではなく、英語が話せなくても「英語が使える」といっていい人もいる、というのが筆者の結論です。また、お金儲けに直接結びつくことをしていなくても、英語を使うことで何らかの成果を生む、あるいは有意義なことができれば、それはそれで「使える」といっていいと考えます。直接お金儲けにつながることだけが「使える」という判断基準にはなりえないからです。

では、4つの技能のうち、どの技能を磨けばいいのか

誤解していただきたくないのは、筆者はスピーキングの技能を磨かなくてもいいと主張しようとしているわけではないということです。4つの技能はそれぞれ独立したものではなく相互に関連しているため、スピーキングの技能を磨くことで他の技能も磨かれるということは、筆者自身、実感していることです。ですからスピーキングの技能に磨きをかけたい人がスピーキングに磨きをかけるのは大いに結構なことだと思います。

ただし、スピーキングの技能を磨くことに関心のない人は無理に磨く必要はないでしょうし、無理に磨こうとしてもモチベーションの維持が困難ではないかというのが率直な感想です。さきほど説明したとおり、スピーキングができなくても「英語が使える」ようになることもあるわけで、それはそれで有意義なことですし、実際、ほとんどの日本人にはそれで十分でしょう。

そう考える理由を分かりやすい例をあげて説明しましょう。英語で会話をする機会がほとんどない人、あるいは将来的にもそういう機会が期待できそうにない人にとっては、スピーキングの技能を磨くというモチベーションを維持するのは困難でしょう。しかし、そのような人であっても、リーディングやリスニングの技能なら磨けば磨くほど、英語の書物を読んだり動画や洋画を視聴したりするという機会がもてることが期待できるので、モチベーションが維持しやすいのです。しかもそれはほとんどの人にとって十分可能なことです。

結論として、日ごろ外国人と接する機会が少ない日本人が英語力を磨こうと思えば、リーディングとリスニングを重点的に磨き、余力があればライティング、さらに余力があればスピーキングを磨くのがいいと考えます。その根拠は、リーディングとリスニングの技能は磨けば磨くほど、読んだり聴いたりして楽しめる機会が多くもてることが期待できるからです。一方、スピーキングに関しては、もともとスピーキングに興味のない人があまり無理をしてもモチベーションを維持するのは難しいと思われるので、そのような人はリーディングとリスニングの技能を磨き、英語を読んだり聴いたりする楽しみを見つけたほうがいいでしょう。ただし、何に喜びを感じるかは人それぞれですから、英語を読んだり聴いたりすることに喜びを感じない人や、英語を話す機会に恵まれている人であれば、スピーキングの技能を磨くのもいいでしょう。

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