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単に外国語が話せるようになれればいいのか

 みなさんは、誰かから乱暴な言葉使いをされて嫌な気分になったことはありませんか?

 ある日、筆者がファーストフード店で単語カードをめくっていると、少し離れたところから、外国人男性がつかつかと歩み寄って来て、単語カードを指さして「うるせーんだよ!」と日本語で怒鳴ったことがありました。

 筆者は、以前からその外国人男性が日本人女性と2人でその店で英会話のレッスンをしているのを何度も見かけていて、うるさいと思ったことはありましたが、ファーストフード店ですし、多少のおしゃべりは許容範囲だと思っていたので、注意することはありませんでした。

 その彼が筆者に「うるせーんだよ!」と日本語で怒鳴って来たのです。
 
 図書館等、静かにしておくことが期待されている場所では静かにしておかなければならないですが、おしゃべりをしている人が多く、ときに赤ん坊の泣き声すら店内に響き渡るようなファーストフード店で、単語カードをめくる音くらいは許容範囲だと思っていました。

 実際、私はカフェなどで30年も単語カードをめくっていますが、一度として注意されたことはありません。ちなみに私が使っている単語カードは特殊なものではなく、文房具店で売っている一般のものであり、そんなに大きな音は出ません。むしろ彼の「英会話レッスン」のほうが大きな音が出ているでしょう。

 ただ、単語カードをめくる音は、おしゃべりの音よりは小さくても、おしゃべりの音とは異質なので、彼には耳障りだったのかもしれません。咄嗟にそう考えた私は反論するのは控え、一言謝り、単語カードをめくるのを止めました。

 ただ、その店を出た後で思ったのですが、たとえ単語カードをめくる音がうるさかったにせよ、「うるせーんだよ!」という言い方は少し乱暴ではないでしょうか。

 そういう言葉使いをするくらいですから、おそらく彼は日本語もある程度しゃべれるのでしょう。

 でもその使い方はどうでしょうか。

 そもそも言葉というものはコミュニケーションを取るために存在します。もちろん人間と人間がコミュニケーションを取るためです。

 人間は理性を授かって生まれてきている以上、他の人の立場も考えなければなりません。それを倫理といいます。ですから他の人とコミュニケーションを取るときも、倫理的な言葉使いができたほうがより望ましいのです。

 「倫理的な言葉使い」とは、平たくいえば、他の人の人格を尊重した言葉使いといえるでしょう。

 「うるせーんだよ!」と怒鳴ることは相手の人格を尊重しなくてもできることです。ですから「倫理的な言葉使い」とは言いがたいです。

 しかし、「もう少し静かにしていただければありがたいのですが」とか「少なくとも私には耳障りなので、その点、ご理解いただけませんか」という言葉使いは相手の人格を尊重していなければできないことです。

 筆者は、たとえ外国語がペラペラになったとしても、外国人に対して「Shut up!」みたいな乱暴な言い方はしたくないと思っています。また、スラングに関しても、万が一、不用意に口から出てもいけないので意図的に覚えないようにしています。

 外国語を話せるようになるのはいいことですが、ただ話せるというだけでなく、倫理的な言葉使いができるよう心掛けたいものですね。