ソフィア・外国語研究協会

ソフィア・外国語研究協会は、
ボキャブラリーに特化した
語学検定試験を提供しています。
トップページサイトマップ お問い合わせ

関口存男語学の天才・関口存男(写真= by 三修社)は、ムツカシイ書物を次から次へと読んでいき、わからない単語や句があっても読み進めた。というのも彼は、量、量、量…でつき進めていけば、やがて量は質に転化すると考えていたからである。そして自分の生徒にも多読を勧めた。

彼は、レクラム本をいくつかに分けて薄くしたものを、いつもポケットに入れて、食事の前後や学科の訓練のあいだのわずかな時間、あるいは寝る前などに取り出しては読んでいたそうだ。

多読の重要性は私も賛同する。また、量がいずれは質に転化するというのも頷ける。

ただ、「多読すればいい」と言われて、いったいどの程度の人が多読を続けることができるだろうか。

それが簡単にできるのであれば、日本人の大半はとっくの昔に英語がスラスラ読めるようになっていただろう。なにしろ100%近くの日本人は少なくとも中学と高校で6年間も英語を学んでいるのだ。

筆者は、多読を続けるにはそれなりの工夫が必要だと思っている

人間、辛いことや嫌なことは、だれでも止めたくなるものだ。

逆に、楽しいことや好きなことは、放っておいても続ける。

これを「快感原則」という。

多読を続けるにも、快感原則に照らして考えてみればいい。言い換えれば、トータルで考えたときに、不快よりも快感のほうが上回るようにすればいいのだ。それこそがまさに長続きさせるコツだ。

では、読むことを楽しくするにはどのような工夫ができるだろうか。私の経験から述べてみたい。

(1)興味のある分野の書物を読む

人間、面白いと思っていないことは、途中で嫌気がさしてきてやめるものである。「わかってもわからなくてもいいからとにかく読んで読んで読みまくれ」というのは一部の人には効果があるかもしれないが、ほとんどの人はすぐにお手上げになるだろう。ムツカシくて意味が分からなければ興味を覚えることなどまずないからである。ムツカシければいいというものでもないだろう。それよりも、興味のある分野の書物、あるいは、興味の持てそうな分野の書物を探して読むのがいいと思う。難易度は二の次だ。

(2)電子辞書を引き引き読む

わからない単語が出てくるたびにいちいち辞書で確認するのは大変だし、時間もかかる。だからといって、一切辞書を引くことなく読み進めていくと、途中でまったく意味が分からなくなる可能性がある。その点、今の時代、ありがたいもので、電子辞書というものがある。すぐに訳語を出してくれるのだから引かない手はない。これで大いに理解度が上がる。意味が分かれば読むのが楽しくなる。

(3)朗読した音声があれば、それを「伴走者」にして読む

本を朗読したものがCDに収録してある場合がある。CDを聞きながら、原文を目で追っていくという手であれば、音声が良い「伴走者」になってくれるので、読むのが楽しくなる。

(4)映画化されているものは映画を先に見てから読む

映画でおおまかなストーリーをつかんでおけば、書物を読むときも、驚くほど読みやすくなる。

(5)翻訳されたものは翻訳と原書を照らし合わせながら読む

原書を読む自信がない場合は、翻訳書と照らし合わせながら読めば、なんとか読んでいけるものである。

わからない単語や句があっても読み進めることができるという人は、その方法でやればいいだろう。しかし、ほとんどの人はそんな読み方は苦痛を感じると思う。少しでも読むことから快感が得られるよう工夫しながら読むほうが長続きすると思う。