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 『日本人はなぜ英語に弱いのか―達人たちの英語術』は、英語の専門家である渡部昇一氏、松本道弘氏、上田明子氏の対談をまとめた本である。

 同書の中で、渡部氏は、これから英語力をつけたいという中年の社会人へのアドバイスとしてこのように述べている(対談なので話したことがそのまま文章に起こされている。

「いい英作文の教科書で、それには昔の受験参考書がいいでしょう、それで、自分で作文をやること。それから、できるならばボキャブラリー・ビルディングの本を読むことですね。欲を言いますよ。それから、『タイム』でも何でもいいから、自分の興味のあるところだけ一つ読むこと。(中略)そして、そのときに知らない単語があったら、絶対に単語帳をつくること。そしてあと、日曜か何か暇があるならば、CNNか何かのヘッドラインニュースをわかるわからないにかかわらず耳で流す」

 渡部氏自身、対談の中で「大部分の日本人にとって英語はあまり必要ない」と述べているが、それを認識した上でこのような発言をしているのである。そしてこの渡部氏のアドバイスに、上田氏は「大いに賛成です」と同意している。

 この発言について筆者の考えるところを述べてみたい。

 前提条件として、配偶者が外国人だとか、将来、海外に行く予定があるという社会人ではなく、ごく一般の日本人へのアドバイスだとしよう。

 筆者は、仕事で英語を使っている(あるいは使う可能性がある)人でなければ、発信能力(スピーキング力・ライティング力)を高めることは、モチベーションを維持するのは困難だと思う。

 渡部氏は昔の受験参考書を使用しての英作文の練習を勧めているが、ごく一般の日本人で、それが続けられる人が何パーセントいることだろうか。ほぼゼロに近いと思う。

 では受信能力(リーディング力・リスニング力)についてはどうか。渡部氏は「『タイム』でも何でもいいから、自分の興味のあるところだけ一つ読むこと。そして、そのときに知らない単語があったら、絶対に単語帳をつくること」と述べている。

 自分の興味のあるところを読むというのは筆者も賛成である。筆者は過去に『タイム』も『ニューズウィーク』も購読していたが、よく「積ん読」に陥っていたので雑誌よりも書籍を勧めたいが、これはとやかく言うこともないだろう。要は、自分の興味のあるものを読み続けるのがベストだ
 
 そして渡部氏は「絶対に単語帳を作れ」という。筆者自身は単語帳を作ったことはないが、単語カードは常に作ってきた。細切れの時間で単語力がぐんぐん伸ばせるので、単語帳もしくは単語カードの作成は賛成である。ただし、単語帳や単語カードを作るのが面倒な人は無理に作る必要もないと思う。人間、いやなことは続かないからだ。

 最後に渡部氏はリスニングについて「CNNか何かのヘッドラインニュースをわかるわからないにかかわらず耳で流す」ことを勧めている。これはやりたい人はやってもいいと思うが、もっといい方法があるように思う。それは朗読してある書籍を利用することだ。これだと聞き流すこともできるが、聞き取れなかった箇所を書籍で確認することができるからである。

 総括していえば、一番重要なことは、英語を楽しく学べるよう工夫することである。少なくとも苦痛にならないよう留意することである。それが長続きさせるための最良の方法だと信じている。