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翻訳で読めれば英語は不要か

 成毛真氏は著書『日本人の9割に英語はいらない (祥伝社黄金文庫)』の中で次のように述べています。

 日本の翻訳家のレベルはおしなべて高い。これだけの翻訳文化があるのだから、日本語を読み慣れた日本人がわざわざ洋書を読む必要はないだろう」と述べています。また、英語は海外在留者や外資系企業の従業員など1割の人にしか必要ではなく、「残りの9割は(英語を)勉強するだけムダ。

 はたして、翻訳で読めれば英語を読む必要はないと言い切っていいのでしょうか。ここではそれについて検討してみましょう。

 筆者は英語を読めるようになることはそれなりの価値があると信じています。その理由を挙げてみましょう。

(1)原書を読めば翻訳では伝わりにくい概念もダイレクトに理解できる
 筆者はすでに約30冊の翻訳書を出版していますが、筆者の経験からいっても、なかなか日本語に訳しにくい概念があるものです。そのような概念でも、訳書として出版しなければならない以上、なんとか工夫をして訳すのですが、そもそも日本語にない概念をそのニュアンスを損ねないように訳すのは不可能なことです。そのような概念は英語のままダイレクトに理解したほうが理解しやすいのは言うまでもありません。
 また、成毛氏自身、同書で「翻訳は誤訳、悪訳がきわめて多い」という立花隆氏の意見に「まったく同感」と述べているのですから、誤訳、悪訳だらけの翻訳を読むくらいなら原書が読めるようになって損はないというべきでしょう。

(2)翻訳されていないものも読める
 翻訳されていない優れた書物がたくさんあることは想像するに難くないでしょう。実際、出版社の多くは「優れた本」ではなく「売れそうな本」を出版したがるもので、翻訳されていない「優れた本」は山のようにあります。原書が読めるようになればそのような本も読めるというメリットがあります。
 また雑誌や新聞も日本語訳が出ていないものがありますし、ましてや今やIT時代で、英語のウェブサイトは無数にあります。そのほとんどは日本語訳などないわけですから、英語が読めるようになるメリットは甚大だといえるでしょう。

(3)英語を読むことで知力が増進する
 渡部昇一氏は「異質の言語でかかれた内容ある文章の文脈を、誤りなく追うことは極めて高い知力を要する。また逆に、そのような作業を続けることが著しく知力を増進せしめる」と述べています。日本人が日本語の書物を読むことはそれなりに価値がありますが、異質の言語である英語を通してモノを見るといった知的訓練はできません。船橋洋一氏も「母語と違う言語でモノを考えるということは、自分の中にもっとにぎやかな、もっと緊張に満ちた思想のドラマを持ち込むことになる」と述べているとおり、それ自体に知的な価値があると考えられます。

englishbook 筆者は英語に興味がない人に興味をもてという気はありません。「翻訳で読めばそれで十分」という人は翻訳で読んでいればそれでいいでしょう。おそらく日本人の大半はそのような人だと思います。

 しかし英語に興味がある人には、英語が読めるようになれば以上のようなメリットがあることを念頭に英語の勉強に励んでほしいと願っています

 

 

 

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