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外国語だけでなく異文化にも目を向けよう

 筆者はイギリスに2年間留学していましたが、その間、幾たびもカルチャーショックを受けました。当時、筆者が某新聞に投稿したエッセーを紹介しましょう。

「マスクが巻き起こした文化摩擦」
 私と同じコースにタイから来た女の子がいる。彼女とは大学で顔を合わせたら一緒に食事に行くという仲である。私は、先日その彼女に、マスクをしているというただそれだけの理由で、大変侮辱されるようなことを言われた。
 マスク姿の私を見かけた彼女、「どうしたの?」と驚き顔。「花粉症だからマスクをしているんだよ」と言うと、彼女、「医者がマスクを掛けろと言ったの? それとも自分で予防の為にしているの?」と余計な世話を焼く。「自分で予防の為にしているんだよ」と答えると、彼女、「変なの。あなたおかしいんじゃないの?」と言って目を剥き出してしまった。その目の剥き出しようが尋常ではない。白目が9割になりそうな勢いなのだ。何か私が犯罪でも犯したような、そんな気分にさせるような目だ。私は慌てて自己弁護した。「英国人や君から見たら変かも知れない。しかし、日本では別におかしいことじゃないんだよ」。すると彼女、「そんなのウソよ。気でも狂ったんじゃないの?」といかにも人を蔑むよゆな調子なのだ。これはどう説明しても駄目だと思った。しかし本当にひどい偏見ではないか。
 実はこういうことは英国では頻繁に起こるのだ。こんなこともあった。ある日バスに乗って往復切符を下さいと言うと、片道切符を渡されたので、「往復切符が欲しいのです」と運転手に言った。するとその運転手、「おまえがそんな変なものをしているから、気を取られて間違えたんじゃないか、馬鹿」。
 国際性を身に付けようとしているわけではない英国人がマスク姿の私を馬鹿にしても何とも思わない。そんなのはもう慣れた。十分に免疫ができたのだ。しかし、仲の良い友人に馬鹿にされるというのは本当にショックな話だ。
 私はタイの女の子に馬鹿にされてから、今一度留学の意義を考え直してみた。留学で一番大切なのは、このような「異質なもの」に対する偏見を無くすことではないだろうか。いくら英語ができ、優秀な成績を上げても、異質なものや見慣れないものをすぐ「おかしい」と決めてかかる学生を、あなたは国際性豊かな人間と認めるだろうか。
 せっかく大金をはたいて留学して来たのだ。「英語ができるようになった」だけでは勿体ない。留学生はその目的を、今一度問いただしてみるべきではないだろうか。

 「ヨーロッパ言語共通参照枠 利用者のための手引き」には次のように書かれています。

自分が現在生活しているところの文化しか知らない人は、自分のやり方が普通であり、自分のやり方と違っていると普通ではないとみなしがちである。

 しかし自分のやり方を絶対視していては相互理解には結びつかないことでしょう。まさにタイの女の子が筆者を侮辱したようなことが起きるのです。

 外国語を学ぶ目的の一つは、文化的アイデンティティと多様性を尊重し、よりよい相互理解をすることですが、単に外国語が上達しただけでは、この目的は達成できないと筆者は感じています。その目的を達成するには、外国語を学ぶと同時に異文化に目を開くことが必要でしょう。平たく言えば、異質なものや見慣れないものをすぐに「おかしい」と決めつけるのではなく、その価値を理解しようと努めることが必要ということです。
 

 

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