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翻訳の一手法borrowingの考察

 borowingとは、翻訳の手法の一つであり、ある特定の外国語の言葉をそのまま母国語において使うことをいいます(ただし「そのまま」といっても、英語と日本語の場合は表記法が異なりますので、元の言語の読み方を「そのまま」使うことになります)。

 たとえば、英語のhost,floppy,coffeeは、日本語では「ホスト」「フロッピー」「コーヒー」といいますが、これは英語が日本語にborrowingされた例といえます。逆に、karate,judo,karoshiは日本語の「空手」「柔道」「過労死」が英語にborrowingされた例といえます。

 borrowingが必要な理由として次の3つが考えられます。

(1)外国語に存在する言葉に相当する言葉が母国語に存在しないためborrowingせざるを得ない
 たとえば、日本にcumputerがない時代に海外からcomputerが導入されたとします。その場合、なんとか呼び名をつけなければならないわけですが、一番手っ取り早いのはborrowingによる方法といえます。英語の読み方をそのまま「コンピュータ」とすればいいだけだからです。

(2)外国語に存在する言葉をそのままborrowingして使うほうが望ましい
 外国語をborrowingしたほうが響きがいい場合があります。たとえば、waitressに相当する日本語として「給仕」がありますが、わざわざ「ウエイトレス」という言葉を使うのは、そのほうが響きがいいからでしょう。同じ理由で「便所」よりも「トイレ」のほうが頻繁に使われています。また「みかん」を「オレンジ」と替えただけで売り上げがあがったという話もあります。いずれもborrowingして使ったほうが望ましいケースと考えられます。

(3)外国語に存在する言葉に相当する言葉が母国語にもあるが、borrowingすることによって、その言葉では表しきれなかった概念を補足できる
 たとえば、英語には「steady」という言葉あり、日本語にもそれに相当する「恋人」という言葉があります。ただし厳密にいえば、英語の「steady」は日本語の「恋人(恋しく思う人)」とは若干ニュアンスが異なり、「付き合うことが一人に決まった恋人」というニュアンスのある言葉です。ニュアンスを正確に訳そうと思えば、単に「恋人」と訳すよりも、元の単語からborrowingして「ステディ」と訳すほうがニュアンスが伝わりやすくなります。

 ではborrowingの問題点は何でしょうか。それはborrowingされた言葉が、元の言葉との間に意味にずれが生じることがあることです。たとえば、日本語の「マスク」は英語の「mask」がborrowingされた例ですが、日本で「マスク」といえば「風邪や花粉の予防用のマスク」をイメージする人が多いですが、イギリスで「mask」といえば「防毒用マスクや手術用マスク」をイメージする人が多いのです。したがって英語の「mask」と日本語の「マスク」は一部重なっている部分もあるものの、重なっていない部分もあり、注意が必要です。

 以上、翻訳の一手法であるborrowingを考察してみました。

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  • 某英会話学校講師 より:

    たしかに「恋人」と「steady」とではちょっとニュアンスが違いますよね。そこにborrowingが必要な理由があるわけですね。参考になりました。